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  • 中小企業も対象のパワハラ防止法とは?パワハラ防止策7選を徹底解説


2019年5月に、いじめや嫌がらせを防止するための法律として、「改正労働施策総合推進法」、いわゆるパワハラ防止法が成立し、翌年6月に施行されました。
そして、2022年4月からは中小企業も上記の対象となります。
では、対象となる中小企業は、どのような準備を進めていく必要があるのでしょうか?
今回は、パワハラ防止法について解説していきます。

1. パワハラ防止法とは

パワハラ防止法とは
パワハラ防止法、正式には「改正労働施策総合推進法」は、2019年5月に成立し、2020年6月より施行された法律です。
パワハラ防止法の中では、その名の通り、パワハラの防止のために、企業として取り組まなければならないこととして、どのような義務があるかについて記載されています。

具体的なパワハラ防止に向けての義務についてですが、労働施策総合推進法の中で、下記のように記載されています。
 

●労働施策総合推進法(第三十条の二)

事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
 

つまり、中小企業の事業主としては、
  • ハラスメントに関する相談に応じ、適切に対応するために必要な措置を取らなければならない
  • 相談者に不利益が生じないよう、プライバシーの保護に努めなければならない
こういった義務を果たす必要があります。

このパワハラ防止法は、2020年6月の施行により、大手企業が先行して取り組みを進めることとなっていましたが、2022年4月からは中小企業も対象となります。

2. パワハラ防止に向けて果たすべき措置

では、パワハラ防止法で定められている、ハラスメントの防止に向けた措置としてはどのようなことを実施していけばよいのでしょうか。
2019年11月に示された、「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針」の中で、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関し雇用管理上講ずべき措置の内容」としては、下記の4つが挙げられています。

①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
②相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
④①~③と合わせて、相談者・行為者等のプライバシーを保護すること、その旨を労働者に対して周知すること、パワハラの相談を理由とする不利益取扱いの禁止

パワハラ防止に向けて、これらの措置を図る必要があります。
これまではこういった取り組みを行う必要のなかった中小企業も、2022年4月より対応が義務化されます。
適切な措置が行える体制を早めに整えていきましょう。

3. パワハラ防止のポイント7選

ここまでは、パワハラ防止法についての解説をしてきました。
では、実際に企業として、パワハラを含めたハラスメントの防止を進めるためには、どのようなことがポイントになるのでしょうか。
ここからは、パワハラ防止のポイントについて紹介します。

①ハラスメントの防止に対する方針の策定
まずは、職場のハラスメント防止に対する方針を策定しましょう。
具体的には、どのような言動、行動がハラスメントに該当するのかを明確にすることが挙げられます。
パワハラ以外にも、セクハラ、モラハラ、マタハラなどなど、企業として防止しなければならないハラスメントの種類は多いです。
まずはどのようなものがハラスメントにあたるのか、経営陣を含めて考えることから始めましょう。

②ハラスメント行為者への対処の決定
ハラスメントの防止に向けた方針と同時に、ハラスメント行為者への対処についても明確にしておきましょう。
単に方針を固めただけでは、実際にハラスメントが発生した時に、企業としてどのように対処を取るべきなのか、対応が遅れてしまう可能性があります。
また、ハラスメント行為者に対しては、懲戒処分が適用されることなどが明確になっていれば、抑止力に繋がるでしょう。

③方針の周知
ハラスメントの防止に向けた方針、行為者への対処が決定したら、従業員への周知を進めていきましょう。
せっかく方針を決めたとしても、周知がされてなければ効果は薄いです。
社内の就業規則や社内報による周知はもちろんのこと、全体でまとまって研修を受ける場を設けたり、Eラーニングなどを活用するのも良いでしょう。

④定期的な研修の実施
ハラスメントの防止に向けた活動の周知に関しては、一度だけで終わらず、定期的に研修を行うなどの施策によって、従業員に定着させることが大切です。
少なくとも年に1回は、ハラスメントの防止のための研修を行うようにしましょう。
また、研修に関しては、より最適な情報を伝えるために、管理職向けと一般職向けといったように階層によってコンテンツを少し変えることもおすすめです。

⑤相談窓口の設置
ハラスメントに関する相談を受け付けるための、相談窓口はあらかじめ設置しておきましょう。
ここでポイントとなるのは、相談窓口の担当者の選定です。
人にはなかなか言いづらい内容を、勇気をもって相談してくれる相手を尊重し、内容や状況に応じて適切な対応ができる力を持った方を配置することが重要です。
相談しやすく、かつ柔軟性をもった方を担当者として選定しましょう。
また、そういった人材がいない、社内リソースが不足しているといった場合には、専門の外部機関に相談窓口を委託することも検討しましょう。

⑥社内アンケートの活用
現状のハラスメントの有無を調査するには、社内アンケートの活用がおすすめです。
早期にハラスメントの発生に対処するためにも、定期的に社内アンケートを実施しましょう。
また、社内アンケートでは些細なことであろうと、ハラスメントに関する情報を得ることができるかどうかが大切です。
そのため、従業員の方に回答を躊躇されることを防ぐためにも、匿名性で実施することをおすすめします。

⑦社内の環境整備
基本的なことですが、社内の環境を整備することも非常に大切です。
長い年月で培われた会社独自の文化は、強みでもありますが、弱みにもなりえます。
「これがうちの当たり前だから」といった感覚で、気づかずにハラスメント行為を行っているようなケースも存在するでしょう。
また、組織形態や事業所の展開状況によっては、同じ社内なのに各職場の情報が伝わってこないといった、閉鎖的な職場環境となってしまっていることもあります。
即時で解決できる問題ではないですが、中長期的な目線を持って、企業組織全体の特性や文化を少しずつ変えていくような努力も行っていきましょう。

4. まとめ

いかがだったでしょうか?
2022年4月より、パワハラ防止法が中小企業にも適用されます。
知らなかった、では済まされないような内容となっていますので、パワハラ防止に向けてどのようなことに取り組まなければならないのかを確認し、実行に移していきましょう。

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