ここからは総務の仕事に役立つ、キャリアアップ、転職で有利になるような資格、検定を紹介していきます。
《総合的な資格》
①ビジネス・キャリア検定
ビジネス・キャリア検定は、職務を遂行する上で必要となる知識の習得と実務能力について評価する検定です。
試験は「人事・人材開発・労務管理」「経理・財務管理」「営業・マーケティング」「生産管理」「企業法務・総務」「ロジスティクス」「経営情報システム」「経営戦略」に分かれており、各分野で1級、2級、3級、BASIC級にレベルが決められています。
(「企業法務・総務」に関しては1級は存在しません。)
総務担当者としては、「企業法務・総務」の検定を受けることがおすすめです。
各領域において専門的な知識を身に着けることができるため、キャリアアップを目指す方や、総務としての自分の力を高めたいという方はチャレンジしてみると良いでしょう。
②中小企業診断士
中小企業診断士は中小企業の経営課題に対応するための診断、助言を行うための専門家であり、国家資格の一つです。
中小企業診断士の役割は、中小企業の成長戦略の策定やそれを実行するためのアドバイスなどです。
幅広い専門知識を活かして、中小企業の経営活動に対応していく必要があるため、難易度が高い資格ではありますが、キャリアアップや転職にはおすすめの資格となります。
《労務・法務系資格》
③社会保険労務士
社会保険労務士は社会保険や労働関連の法律の専門家として人事や労務管理を行う人が取得する国家資格であり、社労士と呼ばれることもあります。
雇用や社会保険、労働問題、公的年金などの分野におけるスペシャリストであり、それらの分野における唯一の国家資格になります。
また、「労働社会保険諸法令に基づく申請書等及び帳簿書類の作成」「申請書等の提出代行」「申請等についての事務代理」などの業務に関しては、社会保険労務士、もしくは特定社会保険労務士以外は実施することができないため、専門性が高く、需要も高いです。
総務だけではなく、社会保険関連のスペシャリストになりたいという方にとってはおすすめの資格です。
④衛生管理者
衛生管理者は、労働者の健康障害や労働災害を防止するための業務を行う上で必要となる国家資格です。
衛生管理者は第一種と第二種に資格が分かれており、第一種では全業種の対応が可能ですが、第二種では「農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業」といった業種は対応できません。
自社の業種に応じた衛生管理者の資格を取得するようにしましょう。
また、労働者が50人以上いる企業の場合、衛生管理者は必須となります。
会社の規模が大きくなるにつれて必要となる衛生管理者の人数も変わってきますので、企業の成長段階や、転職先の企業規模を考慮して資格取得に励みましょう。
⑤宅地建物取引士
宅地建物取引士は、民法や宅地業法を学んだことを証明する資格であり、不動産取引の専門家を示す資格です。
不動産会社で働いている方が所有していることが多い資格であり、宅建士などと略されることもあります。
しかし、総務として働く上でもこの資格は役立ちます。
会社によっては、総務の仕事の中に、寮、社宅、事務所の管理や、賃貸契約の締結、更新、解約など、不動産関連の業務が含まれていることもあります。
そのような場面で不動産会社と対等に話し、不利な契約を結ばないようにするためにも宅建士という資格は役立ちます。
国家資格であり、他の業種に転職する際にも役立つため、取得して損はない資格です。
⑥マイナンバー実務検定
マイナンバー実務検定は、マイナンバー制度を取り巻く法律や制度を理解し、適切に取り扱うことができるということを証明するための資格です。
マイナンバーは税金・保険・年金などのお金の流れを明確にすることに役立つ番号であり、総務の仕事の中でも触れることは多いでしょう。
マイナンバーは国民全員に付与されているものであり、勉強して損はないため、おすすめの検定となっています。
⑦個人情報保護士
個人情報保護士は、企業が保有している個人情報の扱いを管理・監督するための知識を学んでいることを証明するための資格です。
従業員の生年月日、住所、性別、年齢などの基本的な情報や、勤務先、役職、収入などの情報はすべて個人情報であり、企業はそれを適切に取り扱わなければなりません。
そして、総務の方はそのような個人情報に触れる機会が多いです。
総務だけでなく、すべての方にとって個人情報の保護についての知識は必要になりますが、取得しやすい検定であるため、機会があればチャレンジしてみても良いでしょう。
《会計系資格》
⑧日商簿記検定
日商簿記検定は経理や会計の知識に関する資格であり、他の資格と比較しても知名度の高い資格です。
日商簿記検定はレベルが分かれており、1級、2級、3級、簿記初級、原価計算初級の5段階に分かれております。
一番易しい段階から始めてもいいですが、ビジネスで評価される、転職で役に立つレベルである2級取得を目標にするのが良いでしょう。
また、日商簿記以外にも、全商簿記、全経簿記などの資格もありますが、これらは学生向けの資格になります。
知名度、ブランド力から見ても、日商簿記の方が高いので、社会人として簿記を始める際には日商簿記で資格を取得することをおすすめします。
《IT系資格》
⑨情報処理技術者
情報処理技術者は、情報処理に関する「知識・技能」が一定以上の水準であることを認定する国家資格です。
資格取得のためには、特定の製品やソフトウェアに関する知識ではなく、情報技術の背景として知るべき原理や基礎となる知識・技能について、幅広く総合的に学習する必要があります。
会社によっては総務の仕事として、様々なデータベースの管理や自社サイトの運営などを任されることもあります。
そのような、役割を任されている方は資格を取得しておくと良いでしょう。
また、情報処理技術者は期待される技術水準及びレベルにより試験が12種類に分かれています。
事務的な情報処理に関する試験もありますので、自身にあったレベルの試験を受けることをおすすめします。
⑩マイクロソフトオフィススペシャリスト
マイクロソフトオフィススペシャリストは、エクセルやワードなどのマイクロソフトオフィスの製品をどれだけ活用できるかを示す資格であり、「MOS」と称されることもあります。
ワードやエクセルなどのアプリケーションごとに試験科目が設けられているため、自分がよく利用するものから受けることができます。
総務の方に限らず、パソコンスキルは現代において必須です。
また、マイクロソフトオフィスのサービスを利用している企業は多いでしょう。
パソコンスキルについて学び、自分の業務効率化を図りながら、自分自身のパソコンスキル客観的に証明できるため、ビジネスにおいては取り組んでおいて損はないです。
また、転職などの際に実用的な能力を示すことができるという点でもメリットになります。
《人事系資格》
⑪外国人雇用管理主任者
外国人雇用管理主任者は、外国人雇用についての専門知識を身に着け、外国人雇用に関するトータル的なサポートができることを示す資格です。
人手不足問題は現在進行形で加速しており、新たな人材原として外国人を活用している、もしくは検討しているという企業も多いでしょう。
しかし、外国人を雇用するためにはビザや雇用契約書、助成金などに関する知識が必要になります。
そのような知識を学ぶために、外国人雇用管理主任者の資格はおすすめです。
現在は、飲食チェーンを営む企業などに活用されている資格ですが、今後の広がりを考えると他の業種の会社であっても、外国人雇用に関わる可能性はあるため、参考にしてみてください。
⑫人事総務検定
人事総務検定は、人事総務部の知識や実務能力を証明するための資格です。
レベルが3段階に分かれており、1級/課長レベル、2級/主任レベル、3級/担当者レベル、となっています。
総務の仕事は企業によって様々であり、なかなか専門的に学ぶことは難しいですが、総務の仕事の基礎的な知識を学ぶことができるという特徴を持った検定となっています。
資格名の通り、総務担当者向けの検定となっているため、総務の仕事をされている方は取得して損はないでしょう。
また、キャリアアップや総務への転職を考えている方にとってもおすすめの検定です。
⑬キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、労働者の職業の選択や、職業生活設計及び職業能力の開発・向上に関する相談に応じ、アドバイスなどを行う専門家です。
キャリアコンサルタントは2016年より国家資格となっています。
総務としての一般的な業務に活かせる資格ではないですが、人事関連の業務を担当している方にとっては有益な資格となります。
また、人事担当としての転職にも有利になる資格ですので、そのようなキャリア形成を考えている方にはおすすめです。
⑭働き方改革検定
働き方改革検定は、企業として働き方改革を推進するために、働き方改革についての知識をどの程度有しているかを測る検定です。
全国的にどの企業も働き方改革への取り組みが求められていることもあり、時流に乗った検定であると言えるでしょう。
働き方改革検定は、「「働き方マスター試験」や「「働き方マネージャー認定試験」などの7つの検定に分かれているため、自分の学びたいものに応じて選択しましょう。
一般的に人事担当者の方が取得する検定ではありますが、中小企業の場合、人事業務も兼任する総務担当者の方も多いため、必要になるようであれば取得しましょう。
《健康管理系資格》
⑮メンタルヘルス・マネジメント®検定
メンタルヘルス・マネジメント®検定は、働く人たちの心の不調の未然防止と活力ある職場づくりのために、職場内での役割に応じて必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法を習得するための検定試験です。
職場環境や人間関係によるストレスを抱えている方は少なくありません。
場合によっては心の不調による休職や離職が発生してしまうこともあるでしょう。
そのような事態にならないように、企業としてサポートできるよう、メンタルヘルス・マネジメント®検定を保有した方が会社にいると心強いでしょう。
メンタルヘルス・マネジメント®検定は「マスターコース」「ラインケアコース」「セルフケアコース」の3つのコースに分かれています。
会社全体のメンタルヘルス対策の推進を任されているようであれば、マスターコースの習得をおすすめします。
⑯全心連公認ストレスチェックコンサルタント
全心連公認ストレスチェックコンサルタントは、ストレスチェック制度を熟知し、ストレスチェックが企業のメンタルヘルス対策として効果的に作用するようにコンサルティングできる人材を認める資格となります。
労働安全衛生法の一部を改正する法律により、従業員数が50人以上の企業では年に1回のストレスチェックと面接指導の実施が義務化されています。
全心連公認ストレスチェックコンサルタントの資格を保有することで、医師や保健師などとのやり取りをスムーズに行うことができるため、企業全体をサポートする役割である総務担当者の方に最適な資格です。
⑰産業カウンセラー
産業カウンセラーは、職場で自社のカウンセリングを行うカウンセラーが持つ資格です。
心理学的手法を活用して、自社で働く人たちが抱える問題を、自分自身の力で解決できるようにサポート、アドバイスをしていくことが主な役割です。
カウンセリングは従業員が心の不調に陥らないようにする、メンタルヘルス対策のために重要となりますが、産業カウンセラー試験ではキャリア開発への援助についても学ぶことができます。
自社の従業員をサポートする役割である、総務担当者の方が取得する資格の候補の一つとなるでしょう。
《基礎的資格》
⑱秘書検定
秘書検定は、社会人としての基本的なマナーなどの常識的な知識を示すための検定です。
秘書という名称がついていますが、どんな職種でも必要となる知識となっており、レベルは1級、準1級、2級、3級の4段階に分かれています。
総務の担当者として来客者への対応や、電話対応などが業務に含まれていることもあります。
そのような場面に備えて、秘書検定で学んでおくと良いでしょう。
どんな職種でも活きる検定であるため、常識的なマナーを身に着けたい方におすすめです。
◎「総務課ラボ」で行った「資格についてのアンケート」レポートを公開しています。
こちらからご覧ください。
総務課ラボ「資格についてのアンケート」レポート ダウンロードはこちら